◇抵当権の債務者が亡くなった場合必要な手続とは◇

住宅ローン等金融機関にお金を借りて、抵当権を設定した後に債務者が亡くなった場合、どのような手続が必要になるでしょうか見る

仮に、亡くなられた方(夫)をX、相続人である妻と子供2人をそれぞれ妻A、子供B、Cとし、妻Aのみで債務を引き受けたい場合で考えてみます…鉛筆

通常、金銭債務は相続開始(亡くなられた日)と同時に各相続人にそれぞれの相続分に応じて承継されます。
例えば、夫Xの債務が1000万円残っていれば、妻Aに500万円、2人の子供B、Cにそれぞれ250万円ずつの債務が承継されることになります。

今回のように妻A1人に債務を承継させるには、

1.相続を原因として、該当物件の所有者をXから移す所有権移転
2.抵当権の債務者をX→Aに変更する抵当権変更

の登記をすることになります双葉

なお、この抵当権変更登記については以下の2つの方法が考えられます。

(1) 遺産分割
(2) 債務引受契約

(1)の方法では、債務の相続について相続人同士で遺産分割協議をし、そのことについて抵当権者である金融機関の承諾を得られれば、直接Aを債務者とする変更登記ができます。

(2)の方法では、相続人A、B、C全員で一旦債務を承継した後に、遺産分割協議ではなく債務引受契約によって債務者A、B、C→A1人を債務者とする登記をします。この方法では、まず相続を原因としてX→A、B、C全員を債務者とする抵当権変更登記をした後、更に債務引受を原因としてB、Cの債務をAが引き受けたとする債務者A、B、C→債務者Aとする抵当権変更登記をすることとなり2回の抵当権変更登記が必要となります。

いずれの場合も、抵当権者である金融機関と共同で申請することになり、前提としてそれぞれの金融機関の承諾が必要となるので、相続人同士だけで「この人を債務者にします」と決めることはできません。
実務上、金融機関がとる方法は(2)が多いようです電球

上記のような抵当権が設定されておらず債務者変更が不要な場合でも、相続が発生した後登記をせずに長期間放置すると相続関係が複雑になり、より時間もコストもかかることになるので、早めに手続きすることが大切です。

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