◎所有者不明土地建物及び管理不全土地・建物管理人◎

今年令和5年4月1日、民法等一部改正法が施行されることになり、

・所有者不明土地管理制度等の創設

・共有者が不明な場合の共有物の利用の円滑化

・長期間経過後の遺産分割の見直し

がなされます。

その中で、我々の業務に深く関係してくるところで、所有者不明土地・建物管理制度があります。

現行法上では、土地・建物の所有者が調査を尽くしても不明である場合には、土地・建物の管理・処分が困難になります。

その時、所有者の属性に応じて、不在者財産管理人、相続財産管理人、清算人による財産管理制度が活用されております。

しかし、この制度は、対象者の財産管理全般を管理する『人単位』の仕組みとなっている為、土地のことだけ処理したいのに、それ以外の財産についても全て調査をかけたりして財産管理が非効率になりがちで、利用者にとっても負担が大きくなります。そして、所有者を全く特定できない土地・建物については、既存の各種の財産管理制度を利用することができません。

 

そこで、今回新設される制度として、特定の土地・建物のみに特化して管理を行う所有者不明土地管理制度及び所有者不明建物管理制度が活用されることになります。これにより、他の財産の調査・管理が不要になり、管理期間も短縮され、所有者が特定できないケースについても対応が可能になることから、土地の利活用の円滑化にはこれから貢献していく制度だと思います。

管理人による管理の対象となる財産は、所有者不明土地(建物)の他、土地(建物)にある所有者の動産、管理人が得た金銭等の財産(売却代金など)、建物の場合はその敷地利用権(借地権等)にも及ぶが、その他の財産には及びません。(新民法246の2Ⅱ、264の8Ⅱ)

所有者不明土地上に所有者不明建物があるケースで、土地・建物両方を管理命令の対象とするためには、土地管理命令と建物管理命令の双方を申し立てる必要があります。土地・建物の管理人を同一の者とすることも可能だが、土地・建物の所有者が異なるケース等では利益相反の可能性を考慮して慎重に判断する必要があります。

 

申立権者としては、所有者不明土地・建物の管理について利害関係を有する利害関係人(新民法264の2Ⅰ、264の8Ⅰ)

その物件を買いたい人も利害関係人となり得る制度ですので、不動産取引が増える可能性もあるのではないでしょうか。

利活用により空き地、空き家も少なくなるかもしれません。

その中で、我々司法書士も、その管理命令申立書作成やその管理人への就任など、密接に関わってくる制度のように思いますので、これからも自己研鑽に努めて、依頼者様に貢献できる体制を作っていきたいと思います。

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