◎家族信託と遺留分に関する判例検討◎

正月気分満点の頃で、この記事をご覧になられる方も少ないことは想像しておりますが、そういう時だからこそ、興味深かった平成30年9月の判例についてしっかり考えてみたいと思います。

結構、専門家ブログなどで、断片的で不確かな情報が行き交っており、家族信託推進の流れが進まなくなることを恐れておりましたが、判決の詳細を目にすることができましたので、備忘録として書き記しておきたいと思います。

但し、現在、控訴中の事案ということなので、現時点での考察として、今後の業務に活かしていきたいと思います。

①家族関係などから、将来において判断能力が争われることが懸念される案件では、信託契約時に判断能力に問題がない場合においては、そのことを診療記録に記載してもらうことも一つの方法となること。

②裁判所が示した判断では、父親が自宅不動産を含めたことについて、「遺留分制度を逸脱する意図で信託制度を利用したものであって、公序良俗に反して無効である」という判断を示している点については、今後、信託を組成するに当たって留意しなければならない。

③信託契約による信託財産の移転が形式的な移転であるという信託の仕組みから、実質的な権利は受益者であるとして遺留分の対象を受益権であると示したこと。

今回のケースを詳細見てみると、すごく作りこんだ信託だと思うので、依頼者の要望を実現すべく、万一訴訟になった場合でも理論武装して戦えるものであるとして世の中に出したものではないかと思うので、信託を組成したこと自体が非難されるようなことではないと思います。

むしろ「判例が出揃うまで信託をしない」として、目の前で助けを求める方を見捨てる専門家より、ずっと果敢に攻めた勉強熱心な専門家であると思いますし、私もそうあるべきだと専門家としては思います。

ただし、信託が無効になり、依頼者の要望がかなえられないのであれば、本も子もございません。

だからこそ、こういう判例検証や控訴審の進捗状況・情報収集が必要になってくるのだと思います。

その為には、やはり、膨大な時間が必要になります。

今のままでは、その時間の確保がままなりません。これからの業務遂行にあたり、自分の時間をもっともっと持てるように大改革がいるかもしれないなって真剣に思います。
遊びの時間を削るのは嫌なので、仕事の時間の中での断捨離を今年は進めるかもしれません。

時間は有限なのです。能力より決意。今の自分に必要なものを優先的に選択していかないといけないタイミングなのかもしれません。

正月から揺れております。節分で後厄が明ける頃には、どっしり構えていたいと思います。

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