遺産分割協議後に新たに発見された遺産の処理

20年程前に作成された遺産分割協議書の最終頁に『将来万一何らかの資産、負債が発見されたときは、相続人○○がこれを受け処理する』という遺産分割協議書を基に、今回、被相続人名義の表題登記がされている物件に、その遺産分割協議書を添付して相続人○○名義の所有権保存登記ができるかどうか?

遺産分割協議書に、上記のような文言が記載されている以上、できそうなものではあるが、その財産が相当外に高価なものである場合には、ハンコをおさなかったであろう他の相続人もいることもあるし、遺産分割協議の錯誤無効を主張されかねないので、常にケースバイケースなので、結局は、その申請時の法務局への事前調整は必要になります。

もし、受付できないとの法務局の回答があれば、再度、新たに発見された遺産についての遺産分割協議書を作成しなければならいので、手間がかかるし、不成立のリスクも残ります。

新たな財産が発見されたときの備える遺産分割の方法として、
①新たな財産につき改めて分割の協議をする、
②新たな財産は、特定の相続人が取得する、
③新たな財産について取得の割合を定めておく、

の3類型があります。

遺産分割がきっちり法定相続分の比率で決められているような場合には、後日発見された財産につき同様な基準によって決めるのが公平です。

新たな財産がどのようなものであってもこれを特定の相続人に取得させる旨の相続人間の明白な合意がある場合には②を選択するのもひとつの方法です。

相続人間において新たな財産は些細なもので価値のないものと認識して、②を選択ところ後日高価な財産が新たに発見されたような場合には、錯誤の問題が起こる可能性があります。

そこで、些細なものは特定の相続人に取得させ、高額な場合は分割をするとの①②折衷型も選択肢の一つになりえます。

例えば、
『後日上記以外の遺産が判明し、その価格が100万円以下のときは、相続人○○がこれを取得し、その価格が100万円を超える時は相続人○○、相続人○○は改めてその分割を協議する。』など。

こんな文言でも、未登記建物などの不動産のとき、その価格が100万円以下かどうか判別しないときなど、トラブルになる可能性は残っています。
だからこそ、遺産分割協議の前の遺産の特定は非常に大事になってきます。

不動産の調査をすることはもちろんのこと、未登記不動産の表題登記をすることは、後日のトラブルを未然に防ぐことになります。

結論として、未然にトラブルを防ぐために記載した文言が、トラブルを生むこともございますので、文言には注意をして、慎重に協議をする必要があります。

だからこそ我々専門家の存在する意味があるのです。

なんなりと、ご相談下さいませ