◎意思確認の難しさ◎

我々の不動産登記業務で、一番大事になってくるのが、人、物、意思の確認です。

①人というのは、本人であるか。他人のものを勝手に処分していないか。例えば、母親の不動産を息子が処分していないか。

②物というのは、不動産に間違いはないか。どの物件を売却するのか。

③意思の確認というのは、本人の意思として、売却の意思があるのか。いわゆる老人の方の意思能力の問題にかかわる確認です。

いままで、いろいろな不動産取引に立ち会ってきた中で、一番難しいのは、③意思確認です。

①については、本人確認資料を基に本人であることを確認することを徹底して、本人であることは確認できます。②についても、確認をした上で、書類にご署名、ご捺印を頂きます。

しかし、③について、相手がお年を召した方である場合、ただ1回お会いするだけで、しっかりとした意思があるのか判断に迷うケースが結構あります。

迷った時に後見制度を進めたりするわけですが、意思能力ある方の権利を奪うことにもなりかねないこの制度は最後の手段になります。

本日は、売買契約締結前の所有者(売主)の意思を確認して欲しいとの依頼の元、とある特別養護老人ホームにお邪魔してまいりました。
大変お年を召されていらっしゃいましたが、会話は成立するという状況でした。ただ、短時間での面談でその方の意思能力があるかどうかは、分かりよう
がありません。
そこで、日常をご存知の主治医の先生、施設のケースワーカーの方に、状況を確認いたしましたところ、お二方とも、『急変がない限り、意思能力に問題ない』との意見でした。
ここまで、はっきり回答して頂けると助かります。

売買契約、決済の際、再度、意思確認は必要かとは思いますが、現状維持さえ出来ていれば意思確認は可能と判断致しました。現状維持を心から願っております。
本当は関係ないことですが、後日の紛争が生じないように、念のため、推定相続人全員の了解はとっておかれることを、その一人にはお伝えしておきました。

高齢の方の財産処分が益々増えてくる中で、主治医の先生が、今回面談してくれたのでよかったのですが、それが叶わないケースは相当悩ましい仕事となりそうな気がします青ざめ