◎更正、真正な登記名義の回復◎

例えば、A名義で不動産登記をしたものを本当はB名義すべきだったときの登記手続きについて考えてみます。

錯誤更正登記については、現在の登記簿の状態との同一性が必要(例えばAがABだった場合やABがAだった場合)になりますので、当事者が異なる今回のケース(AがBの場合)では、更正登記とならず、錯誤で所有権抹消した後で、所有権移転をする方法となります。となると、前所有者の関与のある登記になりますので、現実的には不可能となるはずです。

真正な登記名義の回復というのは、上記のような状態の時に、前所有者もしくは担保権者の同意が得られない場合に、便宜的に名義を変更する形となります。現行制度の下では、単に前所有者が協力しないとか、担保権者の承諾が得られないからという理由だけでは、真正な登記名義の回復登記は認められ難い現状です。実際売買代金を支払っているのが別人で契約書の記載もまちがっている場合など

(1)現在の登記名義人の登記が実体に符号せず、登記名義人は所有権を有していないこと。
(2)真実の所有者に所有権があること。
(3)真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転をする必要があること。

この要件を充足し、かつ、事実の経緯を含めて具体的な記載をする必要があります。

また、登録免許税はもちろんのこと、不動産取得税についても、現所有者さんの取得の際と同様分課せられますので、よほど、贈与税の課税がたくさんあるから登記を真実に直す場合のようなときじゃないと、使えない登記じゃないかと思います。

昔の申請書副本での登記であれば簡単だったでしょうが、原因証明情報添付が必須にあった現行法では、受けにくい登記であることは間違いなさそうです。