◎合同会社の社員の退社に基づく登記について(私見)◎

今回も備忘録を書きました。

 

合同会社に関する登記は、割といろいろ考えないといけないことが出てきます。

今回は、合同会社の社員2名のうち1名が退社するという話です。退社による持分の払い戻しにおける持分に相当する財産は、社員が過去に履行した出資と、当該社員に帰属している損益とされてます。

前者が、資本金、後者の利益剰余金となります。

退社時を基準日として持分価格は計算される必要がありますが、、持分払い戻しの計算のための財産目録および貸借対照表に記載する財産の評価方法は、営業の存続を前提とする価額によるとするのが通説であります。

それに伴い、持分の払い戻しがあるという事案。資本金は、10000円で5000円ずつ出資している会社。

利益剰余金は2000万以上あって、持分の払い戻しといった場合でも、純資産額の減少となっても、利益剰余金の額を超えないので、債権者保護と手続きは要らない会社。

この場合、しなければならないだろう登記は、社員の退社登記と資本金減額の登記です。

資本金減少となるとそれが、1円であろうと債権者保護手続きが必要になってしまいます。2000万円以上、剰余金があってもです。

官報の公告も必要になりますので、期間も掲載申込から掲載、公告期間である程度時間がかかります。

この資本減少の登記を回避するために、持分の譲渡という形で、やめる社員から持分を買い取ることや、資本金で持分を買い取り、退職金として会社からお金を支払うことで、他の社員の持ち出しを無くす方法など検討はできるが、どうしても持ち出す金額がなかったり、税金的なデメリットが大きかったりするようです。

ここで、実体法的な話ではなくて、登記的に、退社に基づく持分払戻に関する金額に争いがある場合、退社の日と持分払戻の日は2ケ月くらいづれが生じてきます。

退社の登記と同時でなくて退社による資本減少ができるのかという点については、検討しましたが、会社法611条4項からも当然できます。

剰余金に払い戻しと資本金の払い戻しが同時でなくてもよいのかも検討しましたが、条文上、特に期間制限を設けていないことから、それも問題なくできると思われます。

 

現に、今回、剰余金の金額については、まだ協議をしている中、資本金の減少のみ先に払い戻しをして登記をすることが出来ました。

合同会社は、いろいろ考えないといけないことが多いです。

 

 

 

(退社に伴う持分の払戻し)

第611条 退社した社員は、その出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができる。ただし、第608条第1項及び第2項の規定により当該社員の一般承継人が社員となった場合は、この限りでない。

2 退社した社員と持分会社との間の計算は、退社の時における持分会社の財産の状況に従ってしなければならない。

3 退社した社員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。

4 退社の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。

5 社員が除名により退社した場合における第2項及び前項の規定の適用については、これらの規定中「退社の時」とあるのは、「除名の訴えを提起した時」とする。

6 前項に規定する場合には、持分会社は、除名の訴えを提起した日後の年6分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。

7 社員の持分の差押えは、持分の払戻しを請求する権利に対しても、その効力を有する。

 

【優司法書士法人関連サイト】
司法書士を京都・滋賀でお探しなら優司法書士法人 
相続・遺言専門サイト@優司法書士法人
優遊ブログ
みんなの家族信託